恋する生徒


「…あかねちゃんが集中してくれないからでしょ?」
「う……」



上昇してた気持ちが、一気に落下されたよ…。


でも、苦笑しながら先生がスッと私の前に差し出した握りこぶし。


「先生?」

「今日も頑張ったね。ご褒美」



私はその言葉に、慌てて両手を受け皿にして先生の次の行動を待つ。




コロン。コロン、コロン…。



手に転がったのは色とりどりのキャンディーやチョコレート。


「これ…」


「時間内には問題が終わらなかったけど、頑張ってたからご褒美だよ」

嘘…。マジで…? やばい…かなり嬉しいんだけど…。



両手に散らばったお菓子を零さないように、溶かさないように…壊さないように優しく握り締める。


あまりの嬉しさに、頬が緩んじゃう。

たかがお菓子ぐらいでって思われるかもしれないけど…。



好きな人から貰ったものは、10円のチロルチョコでもすごく嬉しいんだよ? なかなか食べれないよ!




「あ、ありがとうござい…ます」

「どういたしまして」


やっぱり、爽やかに笑う先生に胸がキュゥン…って、して「好き」って気持ちが体中から溢れ出る。


…ダメだよ…茜…。言っちゃダメだよ!



でも、でもでも…。

先生の一掴みのお菓子が、私の両手いっぱいになって…私の想いもいっぱいに溢れてしちゃう…。





「……っ、先生ッ!! す、き…!」
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