恋する生徒




本当は、先生のシャツにすがり付いて言いたかった…けど、両手にはお菓子を持っていて出来ない。






言った後の私は、頭が真っ白。



だって、私は生徒で。先生は先生。



いくら家庭教師だとは言え、先生が私を見る確率はかなり低いのは当たり前だよ。



私がもっと賢くなって。
私がもっと綺麗になって。
私がもっと先生の理想の人になるぐらいになって。

私がもっともっと、大人になって。

告白をしたかったのに…。



いくら勢いだけで言ったとはいえ…、タイミングを考えてよ私!!

半分泣きそうになる。

喉が引きつる。
鼻の奥がツゥンと痛くなる。

目頭が熱くなる。

自然と顔を下へと俯いて、自分の靴を見下ろす。



うぅ…自分のタイミングの悪さが恨めしい……。



「……そんなに好きなの?」

「……ぇ?」


< 13 / 63 >

この作品をシェア

pagetop