恋する生徒
刻一刻と近付く先生の訪問時間。


もう、振られているも同然だもの…。

もう、悪ふざけして先生の機を惹く事をしない。



ちゃんと、成績を上げる事だけを目標にしていこう。

ちゃんと、前だけを見て歩こう。


だって、言ってた。葵の友達が、私と友達になりたいって…。

男の子が友達になりたいって言う事は、友達ではなくてカレカノの関係になりたいって事ってわかってる。


私の方は、まだそんな気持ちじゃないけど、色んな人と話をするだけでも先生を忘れる事が出来るはずだよね?




そう考えると先生の顔を忘れるようにしようと心に決めた。


先生が家に来る訪問時間まで10分前。


心に決めた私は、自分の部屋を出て、葵がいるリビングへ行く。


「葵」

「ん~? ………どうしたのお前」



先生が来る日は、学校から帰ったらずっと家に篭っていたから葵が驚くのは当たり前だよね。



友達から借りた漫画を読んでいた葵は、目を丸めて私を見る…けど、女の私より、悔しい事にかわいい。


< 17 / 63 >

この作品をシェア

pagetop