恋する生徒
一度、女の子と間違われてストーカー寸前の男に追いかけられた事もある葵は、しばらく外に出る事も嫌がった事もあった。
外に出られるようになった葵の性格が皮肉れたのもそれが原因。
「あのね。この間、男の子を紹介してくれるって言ってたでしょ? あれ、お願いしてもいい?」
「は?」
丸めていた目は、ますます大きくなって私を見上げている。
それもそうだ。ずっと、先生が好き~! って、言ってたもんね…。
誰かが言っていた。教師と生徒の年が近ければ近い分、親しみやすくて、打ち解けやすいから恋と錯覚を受けてしまうって…、もしそれが本当なら、私もそうなのかもしれない。
本当なら私は、少し悲しいと思った。
今はまだ、先生の事が好きだと勘違いしたままだから……。
少しでも先生を忘れられるように、別のものに夢中になるのもいいかもしれない。
「…マジで言ってんの? お前」