恋する生徒
「マジもマジ! ちょ~マジだよ~」



明るく笑って言うけど、顔も笑ってるかな?




私、笑ってるよね? 無理やり口の端を上に上げて笑う。けど、口の端が震えている事も自分でわかっている。



葵の表情も硬く、眉間には2本のシワ。


「何よ葵。かわいい顔が台無しよ? このシワ!」


そう言って、私は葵の眉を指差した。


「うっさい。茜、お前、何言ってんだ?」

「聞いてないの? 私と友達になりたいって言ってるやつがいるって前、言ってたじゃない?」



明るく振舞っているのがバレバレなんだろうね。葵の顔が私が喋れば喋るほど面白くないと言う顔になる。



…わかってる。無理してるって事ぐらい…。


でも、先生の事を忘れるには、新しい恋じゃない?




…恋じゃなくてもいい。どうにか先生を忘れるためには何かを始めなくちゃ、ダメなんだ。




「その子を紹介して欲しいの!」


葵の顔が強張った。





「嫌だね」



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