恋する生徒
茜ちゃんの目を大きく見開いてこちらを見る。
いやいや! そんなに目を見開いてこっち見ないで下さいな? 俺の心臓はバクバクいって止まらないんすけど…?
「俺も茜ちゃん教えるだけでいっぱいですって答えちゃったけどね」
茜ちゃんのお母さんは勘が鋭くいらっしゃるから、俺の気持ちなんてお見通しだ。
だから、葵君の話を断った俺に「まぁ、頑張ってね?」って、意味深な笑みを見せた。思わず平伏してしまいそうになったな。
「………どう言う意味ですか?」
ふと茜ちゃんを見れば、眉を寄せて不安な顔になって俺を見つめていた。この瞳はどういう意味なんだろう。
「…あかねちゃんが集中してくれないからでしょ?」
誤解してしまいそうになる茜ちゃんの表情だったけど、大人として俺は一線を…一歩身を引く。
「う……」
納得したのか、茜ちゃんは眉根を寄せて反省をしてるみたい…。