恋する生徒


「二股ヤロウがいいのか?」



「……はぁぁあ?」



「二股ヤロウ」
「…二度も言わんでいい!!」



「言っとくが、紹介するって言った後に二股かけているヤツだってわかったんだ!」



あ、少しホッとした。


二股ヤロウと言う言葉を聴いた瞬間、そんな男を紹介したかったのかと葵君に問い詰めてそうになったしな。



一応、葵君はお姉ちゃん思いだという事を知った。





「…他にはいない?」
「お前なぁ…!」


やべッ…、葵君と目があった。

リビングへ通じる扉はガラスで出来ていて、葵君の強張った顔が俺の方を見る。
その反応を見て茜ちゃんも眉を潜めながら、後ろを振り向いて同じように強張った。



…似てない姉弟なのに何故か「ソックリ」と思ってしまった。



「せ、先生ッ!!」




そんなに顔を引きつらせなくても…。そんな事を思いながら俺は笑顔を作ってその場を取り繕う事にした。


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