恋する生徒
「今日は、俺も集中出来ない。日を改めるから」
茜ちゃんの顔を見たら、一度は諦めかけていた恋心が復活しそうなのが分かっていたから彼女の方を見なかった。
「ッ…先生!! 帰んないでッ!」
カバンの中にペンケースや教科書を仕舞っていると俺の腕を掴まれ、ドキリと心臓が高鳴る。
や、やべぇ…。
「…茜ちゃん。放してくれるかな?」
焦りながらも、何とか掴まれた手を離してもらおうとするけど、まったく離してくれる様子がない。
やばい…。理性が崩れ去りそう…。
「っ……ッ! ダメぇ!!」
首を振って俺に訴えるけど、ダメって…何がどうダメなんだよ。
物凄い力で腕を捕まえられている訳でもないのに、振り解けれない訳でもなくて、でも出来なくて…。
動けなくて…。
溢れ出る感情の膨らみが爆発してしまう寸前。
…もうダメだ…。