恋する生徒





そりゃーそうだよね…。一生懸命教えていた生徒の目的が、キスだったなんて…イヤだよね…?



「ごめんなさい」



ここは素直に謝るべき! …よね?



「……茜ちゃん。そう言うの止めた方がいいよ。軽々しく口にするものじゃないと思う」



「はい」





どこの部分が止めたらいいのか分かんないけど、とにかく真剣な顔で言う香川先生が、少し見惚れて頷いちゃった。




しかも、満面の笑みで…。



「…どこが分かったの?」



「………ぅ、え? ……あ、の…ぅ…。ご、ごめんなさい。分かりません……」



「……むやみにチュウ…とか、言わないように…ね? 俺を煽んな……」


そう言うなり、私に近づいて…近づいて…。


え、えぇえ…? な何ィ…!?



思わず体を強張らせて、目をギュッと閉じてしまった。




怒られる! って思ってしまったのは、先生の目の奥がギラギラと鈍く光っているように見えて、恐怖心が湧き上がってしまった。





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