【短編】異端の二人
「今日から僕は此処で暮らす。天馬博士に代わり、君の面倒を見る」

「いつまで?」

「永遠(とわ)に」

「それは、私が生きてる間という意味?」

「まあ、そうだな」

「任務、つまりスパイはしないの?」

「しない。組織が僕を探す事もない。なぜなら、コンピュータや仲間の記憶に在った僕に関する記録を、全て抹消したからね。今や僕は、社会に存在しないんだ」


まるでSFやスパイ映画のような事をタカは言ったが、説得力があるとナナは思った。それはタカがアンドロイドであり、ナナには計り知れない能力があるだろうと思ったからだ。


「君は人の心を読むという尋常ではない能力の持ち主。僕は見掛けは人間だがアンドロイド。言ってみれば“異端な二人”という事だ。異端同士、仲良く暮らそうじゃないか?」


「あの……、もうひとつ質問していいかしら?」

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