球児に恋して、~春夏秋冬物語~ ‐ゆうき編‐
野球バカ
あたし、中村ゆうき15歳の人生の汚点、それは―――――――――
≪室井選手!ホームラン!さよならホームランです!!≫
「ふおっしゃああああ!!!!!!」
「…」
こいつ、落合啓太に恋してしまったことかもしれない
「ちょっと啓太…あんた自分の家で観なさいよ!」
「え~だって今うちでテレビ修理してんだもん、無理」
≪逆転です!さすがは室井圭太選手!!≫
「かっけぇ!!かっけぇよ室井選手!!」
「はぁ…」
何でこんなやつのことが好きなんだろうって、そんなの愚問
「はぁ~かっこ良かったぁ~!!」
啓太はテレビを消して床に寝転ぶ
「ゆうき~ジュース~」
「全く…ほんと遠慮ないわね」
「ゆうきだからね~」
「ッ…///」
期待しちゃいけない
この15年、ずっと啓太と一緒にいて知ってること
「あ~…試合観たら野球したくなってきたぁ」
そう、こいつは野球バカ! 三度の飯より野球!!
「はぁ…」
「ん?ゆうき、ため息するとハゲっぞ?」
「それ何か違うから」
でも啓太が野球以外に興味ないならそれでいい
そのおかげで今まで啓太の色恋沙汰なんて聞いたことがないんだから
「あとそれが何年続くか…」
「ん~?ゆうきどうした~??」
「別にー」