イベリスの花言葉。
でも、目の前のあたしより遥かに背の高い男の子の顔をまじまじと見て思った。
なるほど、これならあの社長がべた褒めする理由がわかる。と。
髪の毛はおそらく人工で染められたものだが、社長譲りの茶色い瞳はとても澄んでいてずっと見ていると吸い込まれそうだった。
手足も長いし、細身。顔のパーツも整いすぎている。
かっこいいというよりは、綺麗な人だ。これで18歳というのだから驚きだ。
「あ、母さんは?」
「社長なら昼食に出かけて留守です。用件は伝えますが、30分ほどで戻るそうなのでもうじき帰ってくると思います。」
どうしますか?という暇もなく彼はソファーに腰掛けた。
どうやら待つようだ。
仕方なく、紅茶を一杯出すとそのままあたしは自分の仕事に戻った。
意外そうな顔をしていた彼も、最初はじっとしていた。
あたしはというと、
社長に一応報告のメールを送った後、先ほどの会議の続きを見ていたのだが・・・。
「あの、何でしょう。」
「いや、別に。」
あたしの手元の資料を覗いたり、会議の内容を見たり・・・。
「申し訳ありません。これは秘蔵映像なので社長の息子様でも、お見せすることはできません。」
なんたって社員のぐうたらが映ってるもんね。
これは流石に見せられない。
というか、あたしの敬語も板についてきたと思う。
最初は日本語の馬鹿野朗とか思っていたけれど、慣れてくると話しやすい。かも。