イベリスの花言葉。
しょうがないなぁ。という風にソファーに戻った陸さん。
10分ほどしてから無言の社長室に、甘い声が響いた。
「やぁん、陸~!」
「社長、お帰りなさい。仕事残ってるので手短にお願いね。」
あたしが間髪入れずに止めに入る。
16歳だというのに、なんて大人なの!笑。
社長にも紅茶を差し出す。
戻ろうとすると止められた。
目で、お菓子をもってこい。と脅迫されたので給湯室に向かう。
冷蔵庫に入っていた白い箱を見つけて思い出す。
数日前に、どっかの科の部長さんだか課長さんだかが頑張ってるねぇ。とあたしにくれた有名な洋菓子屋さんのケーキだ。
ただ、日本のケーキは甘ったるいので社長にあげたのだが。
チョコレートのケーキを二つ、お皿に乗せて運んでいく。
二人の前に甘ったるい、すまし顔のお高いケーキ。
端正な顔立ちの息子さんと、にんまり笑顔のでれでれmather.
なんてカオスなんだ!!
とかふざけたことは置いておいて。
あたしにはあたしの仕事がある。
この二人に振り回されるわけには行かない!と心の中で強く意気込む。
デスクに戻ると、今回の会議の問題部分をカットし、要点をまとめた書類と組み合わせていく。
この映像と書類が次の会議で使われるのだ。
そして社長用の書類には、一番下に『なにか案を出さないと、給湯室のお菓子を全て各科に送りつけます。』という脅迫文を添えて顔を上げた。
ソファーに座って真剣に話をしていたはずの2人がこちらを向いていた。
「何でしょうか。」
嫌な予感を覚えながら、言葉を送ると社長がにんまりと笑った。