イベリスの花言葉。


過去3年なら、他にも話題があったはずだ。
エリザベス女王の誕生日だとか、あの大物セレブの電撃結婚だとか。
あたしの顔が曇ったのを確認して確信を得たのか目の前の男はニンマリと笑った。

「You are name is Rion Silvis.」
「...That`s right.」
肯定するしかなかった。
底意地の悪い笑みを浮かべる彼を睨む。
「You`re calm down.」
よく言うわね。
心の中で毒づく。落ち着いてなんて居ないこと判っているはずなのに。
あの事件の犯人はまだ捕まっていないのよ。
凶暴なあの人がまだ生きて生活していると思うと背筋が凍る。
快楽目当てで両親を殺した狂人。
あたしだけがそいつの顔を見たんだ。
写真なんて撮ってないし、防犯カメラにも映っていなかった。
友人と道を歩いていたあたしが、家の中から出てくる男を見つけた。
お客様が来るなんて話聞いていなかったから、不思議に思って友人と一緒に静かな家に帰ったの。それで・・・。
「Rion,You are very poor girl.at least weep.」
嘲笑する目の前の男に腹が立つ。
そして、彼の顔が一瞬にして別の人物になるのを見てしまった。
「A mask!? You`re a criminal!?」
思わず、叫ぶ。
何事かとこちらを見る人々の視線も今は気にならない。
あたしの心は今、目の前の男につかまれている。
ハリウッド映画で使われるような、精巧なマスクを被ったあの事件の犯人だったなんて・・・。
これだ、この人だ。この顔を持つ、この人が・・・。
忘れるはずもない。
憎くて、許せなくて、苦しみを味わせた、この男が・・・。
「Why...?Why did you kill my family? Why did you select my family?」
人が集まっていることにも気がつかずに、あたしは目の前の男に尋ねる。
底意地の悪い笑みは変わらない。
「I didn`t have reason. But your mather was well shout.」
心底、殺してやりたいと思った。
両親が味わった苦しみをこの男にも。と。




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