イベリスの花言葉。


犯人はわかっているのに、迷宮入りか、と思っていた。

さすがはプロ。

彼の動機を掴んできたのは、警察だった。

始めにつかんだのは、あの男が実はゲイだということ。

警察官の数人が彼の通っていたというゲイバーに潜入し、情報を得たらしい。


あたしを刺したあの男は、あたしの両親を殺したあの犯人と体の関係を持っていたらしい。

犯人とは恋仲で、結婚してからも頻繁に会っていた。
二人は相当愛し合っていたらしく、特に男は犯人に惚れ込んでいたみたいだ。

そんな幸せの最中、犯人が捕まり彼は心底愛する人を失った。

その悲しさから彼はあたしを恨むようになったという。


なんだか、あたしが悪人みたいだ。

纏められた内容に憤慨する。
愛しい人を失った絶望や苦渋はわかる。

辛いことだって理解できる。

だけどあの犯人が罪を償えば、また会うことができるじゃない。
会おうと思えば、短時間でもガラス越しでも会えたハズ。
とんだ被害妄想男の欲望に、あたしは殺されかけた訳?





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