イベリスの花言葉。



同性愛者というだけで、どの世界でも害虫のように扱われるのを、あたしは知っている。
まるでGを見るような目で蔑み
陰日向関係なく彼らの噂話を普通の人たちは言う。
背中どころか体中に突き刺さる、人々の汚物を見るような視線。
それを恐れる同性愛者たちはばれない様に、隠して暮らしていく。
あの男のように、普通に奥さんを貰って影で男の人と浮気をする。

同じ主観の人と恋仲になれることが、どれだけ幸せでどれだけ奇跡なことか
あたしは気づいている。
だけど、そうだからと言って。
仮にも妻を持つ身である彼が、恋人を一時的に失ったからって人を殺していいはずが無い。


彼も、わかっているはずだ。
本当はわかっているはずなんだ。
ただ、動揺して。帰って来て欲しくて。
そんなことをしたんだと、そう思った。



もしかしたら、あの犯人`sはオジサンたちに同性愛者だという弱みを握られていたのかもしれない。
だから、言いなりになるしかなかったのかも知れない。


・・・平穏だった人生を、壊されないために。
少し人と違うというだけで蔑まされることを、恐れて・・・。



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