イベリスの花言葉。


外に出ても、あたしに向けられるのは同情の眼差しと好奇の目。
地元メディアたちは格好のカモだと言わんばかりにあたしを追いかけ回す。
"特別扱い"は学校も同じだった。腫れ物に触るように、教師も友人も親戚も接してくる。



"親を殺された哀れな少女!!""孤独な少女、現実逃避か""一瞬で家族を失った13歳"
新聞に載っている酷い言葉たち。
メディアたちはネタになれば何だってしていいと思ってる。
あれだ、これだ、と騒ぎ立てる。
テレビに映るという誘惑からあたしたちを知る人はあることないことカメラの前で言い触らす。
被害者になってみないと人の痛みに気付かない。
"正しい情報をより早くより多くの人に伝えること"がメディアの方針のはずなのに
放送された内容が嘘だらけじゃ只の噂でしかない。
それでも人々は情報の専門家(メディア)がそう言うなら本当だろうと信じ込む。
そしてそれは、やがて凶器となり被害者の家族を傷付ける。
本人たちの、知らぬ内に…。


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