イベリスの花言葉。
息を、呑むような音が聞こえた。
「おじさんたちに引き取られて、あたしはそこで、真実を知った。」
オジサンたちの差し金であること。
犯人は、両親の古い知人でオジサンたちの言いなりにあったこと。
真実とは、真実を知るということは、全てが良いことじゃない。
人間の本性を真近で見、裏切りを目の当たりにする。
目を逸らしてもそれは変わらずあたしを責め立ててくる。
逃げても無駄ならば、立ち向かえばいい。
「苦しくて、辛くて、でも・・・受け入れるしか、道は無くて。」
裕也さんはどう思っただろう。
自分の愛する人が、人を殺した殺人犯だということを知ったとき。
きっと、辛かったに違いない。
「ねぇ、裕也さん。罪を犯した人でも、みんながみんな死刑になるわけじゃない。死刑宣告された人がすぐに殺されるわけじゃない。お金を払えば、外にだって出ることが許されている。あなたは、京さんと・・・また会うことができる。」
あたしの言葉に、裕也さんはそれじゃ足りないと、零した。
あたしの頬を伝う涙を、彼は切なそうに見つめてきた。
その瞳には、誰が映っているのだろう。
手を握ってくれている陸に、すがりつきたかった。
目の前に居る彼女は、この男のことが好きなはずなのに。だから結婚したはずなのに。
可哀想だよ、あなたは何を見ているの?
どんな権利があってあなたは彼女を傷つけているの。