イベリスの花言葉。


彼への怒りは収まらない。
「あたしだって・・・!」
思わず、叫んでしまった。

言わないつもりだった。言ったら辛くなるから。
心の奥で、封印させておくつもりだった。
周りに迷惑かけるから。
あたしに、暖かくしてくれている人たちに申し訳ないから。

なのに。
心の枷は外れてしまった。
「あたしだって、会いたいの・・・!けど、けど、二度と!会えない・・・。お別れも言えてない。親孝行だって、できてないのに・・・!」
涙の勢いは増すばかり。
横から手が伸びてきて、あたしの涙をぬぐってくれた。
何度も、何度も。
とめどなく溢れるあたしの涙をひたすら、陸は拭い続けてくれた。

でもね、これは悲しい涙じゃないの。
両親に対しての哀愁の涙は、もう、ずっと流し続けてきたから。
違う、これは。この涙は。


裕也さんに、あたしの叫びが伝わらない。悔し涙だー・・・。




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