かすみさんとさようなら。
ここ最近の放課後、よく彼方の行っている予備校に付き合うのが日課だった。


「お前予備校行かなくても頭良いもんな」

「当然の事を言う必要ないだろ」

「………」

「………」

「はぁ。
俺も夏目先輩に教えてもらいたい…」

「放課後言っといてやるよ」

俺の発言に少し目を輝かせたあいつは、気分よく今日の予備校が一時間短くなった事を告げた。

まぁ、どっちにしろ勉強するから良いんだけど。


「倉吉ーここ教えてー」


俺らの会話が終わるのを見計らって、山本が声をかけてきた。

別に会話が終わるのを待たなくていいのに。
あいつは、いつも待っている。


「あー…これは……」

昨日習った数学につまづいている山本は、多分俺に気がある。

もちろん俺はナルシストでもないし、自意識過剰な奴でもない。

ちゃんとそれなりに理由があるからそう断言できる。

その証拠に、一度教えたらすぐ問題を解けるようになるし、分かった時のボディタッチが半端ない。
顔もいつも完璧に仕上げてくるし、俺にしかこんなに近付いてこない。

周りも呆れるくらい態度が変わるし、それに気付かないふりをしてやるこっちの身にもなってほしい。

もう一度言っておくが、俺はナルシストでもないし、自意識過剰でもない。

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