かすみさんとさようなら。
「ありがとう!
やっぱりあんたすごいよ!
教師むいてるよ!」

俺の腕を痛くない程度の力で叩く山本は、満面の笑みでそう言った。

また言ってるよ、こいつ。


「おー…さんきゅー」

「素っ気なさすぎ(笑)」

山本がうるさいからだろ。


「おー悪い悪い」

適当に謝って席に着く。
ちょうどチャイムがなった。


「みんなおはよう…」

入ってきた先生は元気の欠片もなかった。
いつもなんだけど、やっぱり朝からその脱力した顔はやめて欲しい。
こっちまでやる気がなくなる。

「おはようございます」

その先生の後ろから、もう一人の先生。
いや、まだ先生じゃないか。
教育実習中の大学生。

その教育実習生はいつも言葉を大切にしながら話している。
とても、耳に残る話し方をしていた。
一文字一文字丁寧に。

朝会で担任の先生が話をしている時、もう一人の実習先生と目があった。


『おはよう。』

声には出さずに口だけ動かす。

それに、その人は笑顔をかえした。
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