弱虫うさぎの涙雨
甘いもの
「ついたぞー!」
そう声がかかったのはあれから30分たった頃だった。
「駅前ってこんなに遠かったかしら?」
確か学校からなら15分くらいで着くはずなのに……。
「迷ったんだよ」
そっぽを向いて顔を赤らめているこいつはなかなか可愛いい。
「そ、まぁいいわ。さっさと行きましょ」
私はそう言うと、洋風な家をモチーフに作られているお店の中に入った。
お店の中はたくさんの人であふれている。
その中でめだつのはやはり、カップル。
若い女性店員が私たちの元へやってきた。
「2名様ですね?」
「はい」
「お隣の方は彼氏さんですか?」
店員の目は輝いている。
「違いますよ」
横から猫かぶり健兎がそう言った。
「そうですよね、なんだかギクシャクしたかんじですもんね」
店員はそれだけ言うと「こちらへどうぞ」と言って、席へと案内してくれた。
そして、極めつけにその店員に睨まれた。
イライラしてきて、机を指で叩く。
「あぁいうの、ウザいよな」
「すごく、ね」
健兎が肩をすくめて苦笑いする。
「ま、イライラには糖分だぜっ」
「なんか、違う気もするけど……そうね、せっかく来たしね」
「そうそう!」
それから、甘いものをたくさん食べて満足した私達は店を出た。