弱虫うさぎの涙雨
CDショップをでた後、迷わずゲームセンターへとたどり着いた私達は今、クレーンゲームをしていた。
「くっそぉー!!なんで、落ちねぇんだ?」
もういくらつぎ込んだのか分からないくらいにはお金をかけているのに落ちる気配のない、クマの大きな縫いぐるみ。
「もう、いいわ。これ以上お金を使ったら健兎のお金がなくなってしまう」
私は財布から500円玉を取り出そうとしていた健兎の手を止めた。
「でもよ、欲しいんだろ?」
「もういい。とれないわ」
「じゃあ、あと500円だけ」
そう言って、500円玉を機械に投入する。
健兎はとても集中しているようだった。
クレーンゲームなんて、落ちるわけないのに。
欲しいけど……。
私はそう思いながら健兎がクレーンゲームをしているところを見ていた。