弱虫うさぎの涙雨
「ねー、健兎?」
「なんだー?」
前を歩く健兎が少し振り向き不思議そうな顔をした。
「あんた、どうして私と一緒に居てくれるの?」
そう聞くと、笑い始めた健兎。
「なによぉ」
「お前、それ俺に聞くの何回目だよ。そんなに、心配か?」
「……別に、そんなんじゃないわ」
私はそう言ってから窓の外を見た。
「まぁ、1%ぐらい、心配してるかもね……」
「素直じゃねぇーな」
また、健兎に笑われた。
なんで、こいつはいつも楽しそうなんだろ……。
そんなこと、本人じゃない私に分かるはずもないけどつい、考えてしまったりする。
「ぼーっとしてっとおいてくぞ!」
健兎は私の手を取って走り出した。
「……あっ!」
突然のことに驚きの声をあげる。
「お前の心配、全部俺がぶっ壊してやるよ!そんで、楽しいこととかは2人でこれから沢山知っていこうぜ!」
風になびく少し眺めのこいつの髪と、希望に満ちたこいつの目……そして、私の手を優しく握るこいつの言葉を……。
「1%ぐらいならその言葉信用してあげるんだから」