弱虫うさぎの涙雨
式が終わり、教室へ戻った私達は提出物などを提出し、長い担任の話を聞いて解散となった。
「さぁ紗希、スイパラいこー!!」
「はいはい、行きましょうね」
健兎は私の机に手を突き身を乗り出してそう言った。
「お前って甘いもの嫌いだったっけ?」
「別に嫌いじゃないわよ、なんで?」
教室を出て廊下を歩く。
「だってよ、行きたくなさそうじゃん?」
「別に」
私は下を向いて歩く。
そして、昇降口。
下駄箱を開くと、靴を取り出した。
あ、何もされてない。
濡れた上靴と靴を履き替えて、健兎とともに昇降口を抜ける。
教室のほうを見上げると、窓の外を見ているクラスメートを見つけた。
今日は何にもする気は無さそうね……。
「どうかしたか?」
「何でもないわ」
健兎は不思議そうに私のことを見ていた。
「本当に何もないわよ」
私はそう言って、健兎の手を引いてあるき始めた。