風紀委員と二重人格優等生
私がこの仕事を任されているのには訳がある。
それは――
「いい加減にしろ!お前たち!!」
二年F組のドアを勢いよく開け、取っ組み合いをしていた男子生徒二人組に近付く。
二人は私の顔を見て、互いに慌てて離れた。
「一体何をしていた?」
笑顔で訊くものの、両者から反応なし。
怒るな……
怒っちゃダメだ、私。
「立川くん、橋本くん?一週間前に注意したばかりじゃなかったか?」
二人は視線を逸らし、反省の色も見られない。
私は息を一つ吐き出して、
「黙ってんじゃねえ!」
近くにあった机に、力の限り拳を殴りつけた。
――ドンっと云う重たい音に教室中の視線が集まる。
そんな視線など気にもせず、私は二人の胸倉を掴みあげる。
「もう二度と喧嘩しないって誓え!今すぐ!ここで!!じゃないと…」
そこまで言うと二人は顔を青ざめさせ、
「す、すみませんでした!誓います!!」
と交互に口にした。
私は一人ずつ一瞥し、手を離す。
「さ、さすがっす!山神先輩!」
後ろで見ていた越川が、手を叩きながら感嘆の声を上げた。