風紀委員と二重人格優等生




連れてこられたのは見たことのない古びたビル。


「……こんな所にビルなんてあったんだな。」
「俺も初めて知った。この辺って人通り少ないんだな。」



ビルの前で立ち尽くしていたら、男達に中に来るよう急かされた。



「呼んでるよ、奈美ちゃん。早く行こう。」
「……物好きな奴だな。こんな面倒事に首を突っ込むなんて。」


私は呆れて隣を見る。



「だって一人じゃ危ないよ。」
「私なら平気だ。その辺の男共より強い自信があるからな。」

にっと笑えば白石は、ふーんと不満そうに言う。


「おい?」


何が不満だ、と訊くため近付けば頭にポンっと手が乗せられた。


「それでも女の子一人で行かせるわけには行かないだろ?」
「なっ……」


白石はそのままビルの中へと入っていく。



「……なんだ、それは。」



私は慌てて背中を追いかけた。


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