風紀委員と二重人格優等生
「やっぱ山神先輩は強いっすね!さすが山神道場の跡取り!!」
そう私は…
少し名の知れた山神柔道道場の一人娘。
つまり……
「継がないって言ってるだろ、越川?」
「す、すみません……」
その辺の男共より断然強いわけで。
先生方の強い要望で風紀委員長なるものをやっている。
「ったく、余計な手間取らせやがって。行くぞ、越川」
「はい!」
越川を連れてF組の教室を出る。
廊下に出れば数名の視線が集まる。
私が通うこの緑川高校は地元でも有名な不良高だ。
もちろん不良が目立つと言うだけで、全員が全員そうであるわけじゃない。
「全く……少しは大人しく出来んのか。」
廊下をずかずかと歩きながら言えば、越川は笑うだけ。
「越川、お前もだらしないぞ。男ならあれぐらいの喧嘩止めてみろ!」
「む、無理ですよ。絶対無理。」
「情けないな。何なら私が鍛えてやっても――おわっ!?」
後ろの越川を振り返り話しながら歩いていたら、私は何かに激突した。
その反動で派手に床に転ぶ。
「痛っ………」
「あ、ごめん。」