裏TABOO ~矢吹センセの場合~


新たに用意したプリントを目の前に置くと、ほどなくしてシャーペンを走らせるサラサラという音が聞こえてきた。


テストが終わるのを待つ身のオレはやることもないので、さきほどの赤点の答案を回収し再び目を通す。


選択問題は全て最後の、アルファベット“H”の答えを選んでいるということに気付いたのは、半分辺りまで採点した後だった。


正解率9割レベルの基本問題でさえ、“H”。


採点が終わってみると、一目瞭然の“H”の法則。


ここまでされると、それがオレ宛のメッセージだってさすがにわかる。むしろもう言われたっけ。


「Hな教師なんて最低」だと。


あの日オレ達の秘密を覗いてた眼鏡女子が1年C組里見京子という名前だってことを、この部屋に入ってきた時にようやく知った。


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