裏TABOO ~矢吹センセの場合~


「まだ怒ってるのか?」


その質問に手を止めることなく「怒ってません。軽蔑してますけど」と即座に返ってきた返事。


「見てたくせに?」


「それはっ!」


勢いよく顔を上げた後、オレと目が合い気まずげに逸らし小さな声で言う。


「先生達が…その…だから出れなかったんじゃないですか…」


言い難い部分をモゴモゴと誤魔化し、耳を真っ赤にさせている里見が急にかわいく見えた。


「だな。悪かった」


「…いえ」


さっきまでの勢いがすっかり消えてしまったその声に笑いながら、「出来たか?」と声を掛けた。


< 15 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop