裏TABOO ~矢吹センセの場合~
「まだ怒ってるのか?」
その質問に手を止めることなく「怒ってません。軽蔑してますけど」と即座に返ってきた返事。
「見てたくせに?」
「それはっ!」
勢いよく顔を上げた後、オレと目が合い気まずげに逸らし小さな声で言う。
「先生達が…その…だから出れなかったんじゃないですか…」
言い難い部分をモゴモゴと誤魔化し、耳を真っ赤にさせている里見が急にかわいく見えた。
「だな。悪かった」
「…いえ」
さっきまでの勢いがすっかり消えてしまったその声に笑いながら、「出来たか?」と声を掛けた。