裏TABOO ~矢吹センセの場合~
『ちょっと手伝え』
大学時代に所属してた映研の先輩からそんな電話があったのは今朝のこと。
徹夜明けでフラフラしながらも言われた場所に行ってみると、何の説明もなしにハンディカメラを手渡され、部屋で待機させられること数時間。
そのうちご機嫌で戻って来た先輩が、「はい、じゃあよろしくー」とカメラの前に連れてきたのがうちの生徒で眠気がいっぺんに覚めた後、嫌な予感にとりあえず待てをかけ今に至る。
まさかアダルト系じゃないだろうなと考えながらも、「手伝いだ」と答えると、すかさず追求の矢が飛んでくる。
「こんな怪しげな所で?いいんですか?教師なのに」
「その怪しげな所について来たのは誰だよ」
「……」
バツが悪くなると目を逸らす癖、今じゃすっかり覚えた。
気が強いんだか弱いんだかよくわからない里見に、「金か?」と聞くと下を向いたまま首を横に振る。
「じゃあ、優等生の反抗ってやつか」
また首を横に振るだけの返事に、正直うんざりしてた。