裏TABOO ~矢吹センセの場合~
穏やかな振動と控えめに流れるSTEERYが、助手席の彼女を眠りへとうまく誘ってくれた。
コンビニの駐車場に停めエンジンを切ると、車の中の音は小さな寝息だけ。
彼女の唇と甘い香りに、理性も順序も飛ばしてしまいたい気分になるけど…
前を横切り店に入っていく客達を見送りながら、さすがにここじゃ明るすぎだなと伸ばしかけた手を戻した。
腕時計を見ながら考えてると、後部座席に放り投げてあったジャケットが振動する。
『まだ飲んでるの?浮気してないでしょうね』
束縛好きの彼女がいつも言うお決まりのセリフだけど、今日はそれがやけに可笑しく聞こえた。