―奏― 君に捧げる愛の歌
「おいっ!何勝手に聞いてんだよ。」
その声に驚いて目を開けると、
さっきまでギターを弾いていた彼が、私の目の前に立っていた。
でも、暗闇で彼の顔はよく見えない。
「すっ すみません。
綺麗な声だったから・・・
つい。」
「あぁ!?
お前に何が分かんだよ!!」
どうやら、勝手に盗み聞きしていたことを怒ってるようだ。
どうしょう・・・
こんな人気のないとこで、何されるか分からない。
身の危険を感じた私は、
「すみませんっ!!」
と謝ると、逃げるようにライブハウスの中へ戻っていった。
その時、ポケットに入れていた財布を落としたことにも気付かずに―