【短編】 あじさいが咲く頃に
でもお前がさ、俺のこと
本当の弟みたいにしか思ってないって分かってた。
それでアホみたいに悩んだ時もあったしな。
どう頑張っても
縮まらない年の差もすげぇ苦しかった。
そしてなによりも
アイツに勝てなかったことが辛かったよ。
でももう梅雨が明けたら
お前は一生帰ってこない場所に行く。
今以上に近づくんだろうけど…。
きっともう俺のこと
一人の男として見ねぇだろ?
本当は無理やり力ずくで
俺のモノにしたいって衝動に駆られたこともある。
でもそんなことしたら
お前は泣くだろ?
だから結局、出来なかったんだ。