【短編】 あじさいが咲く頃に
「健ちゃん~昼飯食べようぜ!」
「おう」
こいつは友達の亮。
なんつーか主人に忠実な犬って感じ。
今時珍しい純情な奴で
最近付き合いだした彼女も内気な子で。
それでも上手いこと行ってるみたいだからマジ謎だな。
「亮、今日ヒマだったら遊ばねぇ?」
「えっ、でもさっきの女の子に
先約あるとか言ってなかったっけ?」
ちぇっ、やっぱ犬は耳がいいな。
「あれは嘘。 アイツ最近
俺にマジになってきたからパス」
「そういうのって、いいの?」
なんでお前が泣きそうな顔すんだよっ。