【短編】 あじさいが咲く頃に
「あの、うちに何か用、ですか?」
「…えっ?」
振り向くと同じ学校の制服を着た女の子。
学年ごとに違うリボンから察すると
俺より一つ年下。
「……あーごめん。 ここ君の家?」
「あっ、はいそうです」
相手も俺のネクタイの色で
俺が年上って気付いたみたいで敬語。
「…紫陽花、きれいだね」
「あぁ、そうですね」
同意しかしない彼女は
俺の隣りでぼんやりと紫陽花を見つめた
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