流れ星ーイノチノトケイー
プロローグ
一度だけ、本物の流れ星を見たことがある。



旅行先じゃなく、自分の部屋から。


空気が綺麗で、夜が暗い町ならさほど珍しいことでもないのだけれど、私が15年間暮らした、都内はそのどちらにも当てはまらない。


晴れた夜で見えるのも、せいぜい二等星くらいだろうか。


でもあの日、私は確かに、見た。


星などほとんど見えない、深夜でも、どこか白っぽいダークグレーの空を切り裂いた、一瞬の閃光を。



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