空っぽのキミに

「よ、目、覚めたみたいだな」

意識が戻って、一般病棟に移された俺を見舞いに来てくれた奴。

「今の時間、仕事だろ？何でいるんだよ」
　

昼間から堂々と会社抜け出して来やがったのか？
　

目の前に立つスーツの男に顔を向けて、そう思った。

「てめぇ、人が心配してきてやればその言い草か」

「いってぇぇぇ、何しやがる！？」

　
ニヤッと笑ったそいつは、ギブスで固められた俺の左腕を思い切り叩きやがった。

　
それも、底鋲付のビジネスバックで。