空っぽのキミに
「あ、私は仕事がありますから一旦下がりますね。暫くしたらまた来ます」

付き添って来てくれた看護師は、そう言って病室を出ていく。

 
仕事って言ったけど、もしかしたら気を使ってくれたのかも知れない。

看護師の背中を見ながらそう思った。
 
それから結愛に向き直る。

「俺は、西崎純哉って言うんだ。よろしくな」

「西崎純哉さん・・・」

結愛は俺の名前を反芻しながら、また俺をじっと見つめてくる。

 
記憶の断片でも探すみたいに、ただ俺をじっと見つめる結愛。
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