* another sky *
高橋君は、新しい彼女と上手くいかなかったようだ。
別れる前に比べて、一緒にいる時間も会話も増えたようだし…。
このまま、よりを戻すのかはわからないけど…。
少しずつ麻友理の気持ちに変化が見られたことも確かで。
お互いに必要としているのであれば、きっと時間が解決してくれるはず。
私たちは、そう思って麻友理を応援していた。
それだけ二人は、長い時間を過ごしてきたのだから。
私たちにも推し量れないものが、あるんだろうって。
「結局、元の鞘に納まることが一番良いのかもしれない。」
何かと口を挿みたがる梨花を制して、綾子がそう言った時。
私も頷くことしか、出来なかった。
だって、その前の日に、麻友理から聞いていたんだ。
身体の関係も…また、復活したからって…。
「ちゃんとよりを戻してからの方がいいんじゃないの?」
「何で?
今は、すごく優しいし…。」
そう言われちゃうと、もう何も言えなくなってしまうわけで…。
麻友理が幸せなら、それでいっか…。
部外者がそこまで口にするのも…、ね。
そうやって、私たちは、麻友理の前で、高橋君の話をしなくなっていった。
私や、梨花や綾子が、来週に迫ったスノボの話で盛り上がっていても、麻友理はちっとも興味を見せなかったし。
上手くいってるもんだって、思ってたんだ。