* another sky *

「玲、勝負だからな。」


「負けないもーん。」


航太の部屋で、私たちはまったりと過ごしていた。

相変わらず、仲は良かったと思う。


「いや、マジ。玲は凄いって。」


「子供の頃から雪なんて、当たり前の生活だったからね。」


雪が降ることが当たり前の場所で育った私は、少々威張って言ってみる。


「だから玲ちゃんは冬になると、頬が赤くなるんだねぇ。」


「あー。気にしてるのに…。
好きで赤くなるんじゃ、ないもんっ。」


「ごめん、ごめん。」


よしよしと頭を撫でながら、拗ねた私を覗き込む航太を、キュッと睨み付けて。


「楽しみだな。」


航太は私の身体をそっと抱き寄せると、優しいキスを頬に落とした。


「みんなで旅行みたいだね。」


「結局、麻友理ちゃんは来ないんだ。」


「うん、高橋君と一緒にいるみたい。」


「佐藤のやつ、落ち込むなぁ。」


クスクスと笑う航太に、私も一緒になって笑う。


「でも、麻友理が幸せなら、もう、それでいっかって思っちゃう。」


「玲は、麻友理ちゃん、麻友理ちゃん、だな。」


だって、あんなに辛そうな麻友理、もう見たくないもん。


「今度は二人で行こうな。」


柔らかな瞳で、私を覗き込む航太に、うんと頷きながら身体を預けて。

本当に、楽しみにしてたんだ…。
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