* another sky *
「きゃーっ!!!」
麻友理はリフトから降りるタイミングがわからず、転び落ちていく。
「痛ったぁ!!」
「麻友理! 大丈夫??」
「ふぇーん。
やっぱり私、無謀だったかもぉ。」
よいしょ、と立ち上がろうとする麻友理に、佐藤君が手を差し伸べた。
私と佐藤君で、午前中、麻友理と一緒にいた。
付きっきりでコーチというか、雪遊びというか。
午後からは初心者コースに出てみることして、今に至る。
「玲ちゃん、滑ってきなよ。
俺、麻友理ちゃんに付いててあげるからさ。」
あ、―――。
そうなの?
えっと、もしかしてお邪魔だった??
「そうそう。玲、行っといで。」
あれ、―――。
やっぱり、私、お邪魔だったんだ…。
「じゃあ、麻友理のこと、よろしくお願いします。」
言った刹那。
満面の笑みを浮かべる佐藤君を見て、思わず苦笑い。
ごめんね、私、全然、気付かなかったよ…。
「ばっちり! 任せて!!」
張り切った声に、麻友理もクスクスと笑い出す。
「じゃあ、16時くらいにレストハウスでね。」
「はーい。」
「いってらっしゃーい。」
ニコニコと手を振る麻友理に、バイバイと手を振って。
私は初心者コースの斜面を一気に滑り下りて行く。
航太、どこにいるのかな?
ま、いいか。
今日は思いっ切り、滑りたい感じ。
夕方まで滑りまくっちゃうぞ。