* another sky *

よしっ!!


ガッと音を鳴らして、急斜面を滑り下りる。

ここのゲレンデはコブも少なく、滑りやすい。


ボードを持ったまま、がっつり飛び上がると、まるで空に向って跳んでいるようで気持ちがいい。


上まで行って、下りてくる。

無我夢中で、それを3回、繰り返して。


さすがに4回目にリフトを降りた時、ちょっと疲れを感じてしまう。


…もう、若くないなぁ。


休憩しようと斜面に座ってゴーグルを外した。

ポケットにしのばせておいたチョコをかじると、なんだか無性に楽しくなってきた。


はぁーっ。

課題制作、大変だったなぁ。

あんまり眠れなかったし…。

うわぁ、―――。

空、青いよなぁ。

やっぱり、癒される…なぁ。


20分くらいボーっとしたのかな。

私は斜面に寝転がって、空を見上げていた。



――――――――!!!



いきなり、真横にガガっとボードが止まり、そのままバタンっと、人が倒れてくる。



ガガっ、―――?


バタンっ、―――??



慌てて起き上がる私を、

「玲ちゃん、早い…ね。」

と、はぁはぁ息を切らして、倒れ込む男子。



え、―――?



怪訝な顔で訝しんでいると、ゴーグルを外しながら唸る、見覚えのある、人。


「…俺だよ。」


「佐藤君、――??」


「…っ、追いつけねぇ!!」


うわあーっと叫びながら、両手を上げて伸びをした。
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