* another sky *

「佐藤君、麻友理は?」


「航太が交代するから、滑ってきていいぞって。」


「航太が…?」


「朝からガンガン滑ったから、ちょっと休憩だってさ。
多分、玲ちゃんが上級にいるはずだからって。」


「あはは。そうなんだ。」


「いた!と思っても、超早ええし。
追いつくの、必死っ!」


…はあぁぁ。

佐藤君は大きく深呼吸を繰り返した。


「あ、チョコ、持ってんの?
俺にも、チョコちょうだい。」


「はい、どーぞ。」


私は恭しく、ミルクチョコを渡して。


「空、あっおいなぁ…。」


「うん。気持ちいいね。」


一緒になって、また斜面に寝そべった。


「さっき梨花ちゃん達とも会ったよ。
麻友理ちゃんのところ、行ったんじゃないかな。」


「そっかぁ。
だから誰も会わなかったんだぁ。」


「いや、いや、玲ちゃん…。
君には誰も追いつけませんよ。」


「そろそろレストハウス、戻る??」


「そうだな。よし、いざ勝負。」


「え、ちょっと待って。」


そう言うが先に、佐藤君は立ち上がった。


「負けた方が、ビールを奢ることっ!!」


「ええっ!!」


「じゃ、おっ先ーっ。」


慌てて起き上がろうとする私の身体を押さえつけると、手を振って、一気に斜面を滑り降りていく。
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