* another sky *
「うわーっ、ずるいっ!!」
あっという間に、佐藤君が小さくなる。
ああん、もうっ。
やられた、―――!!
素早くゴーグルをつけ直し、私も立ち上がる。
勝負ごとは、絶対、負けたくない性格なのっ。
よし!!
絶対負けないもんねっ。
一気にスピードを出し、コブを跳び上がる。
どんどん加速していくスピードに乗りながら、先を滑る佐藤君を捉えた。
風を感じて、気持ちがいい。
ここ最近のストレスが、吹っ飛んでいくのがわかる。
レストハウスの前に、航太達の姿が見えてきた。
手を振って、応援してくれているみたいだ。
よし、絶対抜くっ!!
コブに苦戦している佐藤君を煽るようにジャンプして、瞬く間に抜き去った。
やったーっ!!
20メートルほど差をつけて滑り込むと、後から佐藤君も倒れ込むようにゴールしてくる。
「玲っ。格好いいっ!!」
「ちくしょーっ!!」
地団太を踏む佐藤君を、航太は憐れむような表情で、
「俺、玲が昔、強化選手だったって言わなかったっけ??」
と、肩を叩いた。
「え、まじで?」
佐藤君は、キョトンとし、
「じゃあ、勝てないじゃん。」
と、本当に悔しそうに呟いた。