* another sky *
麻友理は航太の横に乗り込むと、
「じゃあ、お隣失礼しまーす。」
と、にっこりと笑顔を向ける。
「じゃあ、俺が向こうに行くよ。」
麻友理と交代する感じで、未来くんが紺ちゃんの車に移動する。
「綾ちゃんはどうする?」
「私、あっちでもいいよ。」
紺ちゃんとなかなかいい感じの綾子は、また向こうの車に乗り込んでいった。
「すっごい盛り上がっててね、眠れないの。」
「あいつら、うるせーからな。」
麻友理の言葉に、航太も一緒に笑いながら、会話を続ける。
しばらく走りだすと、静かになった。
どうやら、後部座席の二人は眠ってしまったようだ。
梨花と話しながら車を走らせていると、突然、思い立ったように、
「あ、私、トイレ行きたいかも。」
と梨花が言いだして。
「行きたいかも?」
「うん。トイレ行く。」
「さっき行けば、良かったね。」
梨花は前方にPAのマークを見つけ、ウインカーを付け左折する。
後ろを振り返ると、航太と麻友理はぐっすり眠っているみたいだし…。
「一緒に行こうか?」
「玲は、待ってて。」
「一人で平気?」
「うん、麻友理、起こすから。」
「麻友理、――?寝てるよ?」
「いいの。麻友理っ。起きて。」
「ん、――。」
梨花は麻友理を起こすと、
「お願い、トイレについてきて。」
と、切羽詰まった口調で言う。