* another sky *
「…あ、うん……。」
眠たそうな表情を見せる麻友理を、引っ張るような感じで車から降ろすと、
「じゃあ、トイレ、行ってくるから。」
そう言って、二人は店内へと歩いて行った。
どうしたんだろ、梨花…。
わざわざ起こさなくても、私が一緒に行ったのに。
「…玲?」
「わ。びっくりした。
寝てるかと思ったのに。」
「玲は疲れてないの?」
「ちょっと疲れたかな。明日ゆっくり寝れるし。」
「いいなぁ。学生は。」
ちょっぴり拗ねたような声で笑う航太が、何だか可愛い。
「玲、後ろにおいでよ。」
「じゃあ、麻友理と交代してもらおうかな。」
「そうしな、そうしな。」
ふぁああと伸びをしながら、航太は呟いた。
「玲が横の方が、気を使わなくていいしね。」
しばらくして、コーヒーを持って二人が戻ってきた。
「はい、どうぞ。」
麻友理がみんなに配ってくれる。
「玲、寝ていいよ。
麻友理が代わってくれるから。」
「うん。ちょっと寝ようかな。
梨花は平気なの?」
「うん。運転するの、好きだしね。」
あれ、―――?
麻友理、どうしたのかな…。
さっきより、元気がないように見えるんだけど…。
疲れたのかな…?
そう、―――。
疲れてるのかな、くらいに、思ってた。
航太の横に座ると、急に眠たくなって、そんなことあっという間に忘れてしまった。
航太は私の膝に頭を乗せ、ぐっすり眠り込んでいる。
私も睡魔に勝てず、そのまま、眠ってしまったんだ。