* another sky *
航太と付き合うようになって、だいぶ変わったと思ってた。
それこそ、何でも話してくれる航太。
「好きだよ。」も、「それは嫌だな。」ってことも、全部、口にして。
最初は面食らってしまったけど、自分がすごく狭い人間に思えてきて。
何だ、自分から垣根を取っ払えば、こんなにも楽なんだって、気付かされたんだ。
自分の感情を、ちゃんと言葉にして、出せるようになったかなって、なんて思ってたのに…。
まだ、足りないのかな…。
不安にさせてるの……?
どうしてそんな悲しい瞳をして、私を見てるの?
私はまた、失敗してる、…みたい。
「うわっ、―――。ごめん、ごめん。」
焦ったように、航太は私を抱き締める。
「玲、ごめん。泣かないで。」
―――――――。
「なんかさ、不安になっちゃって。
玲が離れていったらどうしようとか思ったらさ。」
「…っ。なんで、そんなこと思うの?」
「ごめんって。玲、本当に、ごめん。」
航太は私の涙を、そっと指で掠め取る。
だけど、―――。
混乱してしまった私は、涙が止まらない。
「ごめんって。な?」
「も、…わかんない……。」
「俺が悪かった。
だから、泣かないで…。」
航太の腕の中に、優しく包み込まれて、息を吐く。
温かな体温が、直接、伝わってくる。
ずっとこの腕の中にいたい。
それだけのことなのに。