* another sky *
「え、―――?
麻友理、お正月、実家帰んなかったの?」
綾子が驚いて大きな声を出した。
「うん。何かと忙しくて。
春休みになったらね、帰ろうかなって。」
午後の陽射しは柔らかくて、私たちは授業を終え、帰り支度をしていた。
冬休みも終わると、学校に来ているクラスメートも少なくなって。
今日は梨花も、来ていない。
「お茶してく?」
学校近くのカフェも、いつもは学生で賑わっているのに、今日はまばらで空いている。
「ね、聞いて。」
「なにー? あ、私、チャイ。」
「えっと、じゃあ、カフェオレ2つとチャイ1つで。」
スタッフの人がいなくなると麻友理はいきなり切り出した。
「あのね、わたしもう、由樹と完全決別。」
――――――!?
――――――!!
突然の告白に、私も綾子もひっくり返りそうになる。
「嘘っ??」
「もうね、いいの。」
「もういいって…?」
「全部、吹っ切れた…ってこと…?」
「そうよ。」
快活な笑顔を見せる麻友理が眩しくて、私も綾子も唖然とする。
「…そう、なんだ。」
だからもう、この話はもう終わり。
そんな潔さすら、漂っていて。
「びっくりした…。」
何だかそれ以上は、聞けない雰囲気…?
綾子も同じように感じたみたいで、私たちはそれ以上、高橋君について何も触れることが、出来なかった。