* another sky *

――――――――！！



―――― …。


「それで…？
渡瀬さん、帰っちゃったの？」


「…うん。」


玲はまた、泣き出した。


「うん…。帰っちゃった…。

言い訳くらい、してくれればいいのに、…ね。

でも、航太が浮気なんて、信じられないの。

私には信じられないよぉ。」


感情をむき出しにした、小さな子供のように泣きじゃくる。


玲の全てが、悲鳴を上げていた。


痛々しい声に、私はただ静かに聞くことしか出来なかった。


「今から行こうか…。」


側に行って抱きしめてあげたかった。


「…一人で、大丈夫だから…。」


か細くて、聞き取れないほど小さな声で。


だけど、こんな時にも一人を選ぶなんて…。



あなたは、強い、―――。



電話を切った後も、玲の泣き声が頭から離れない。



すぐに行ってあげなきゃ。


そう思うのに、足が動かない。



頭では解っているのに、どうしていいのかわからなかった。




何もする気が起こらない。


時間だけが、過ぎていく。




ねえ、私はどうしたらいいの？




自分のやった罪の大きさに、私はまだ、気付いていない。